第16回 白雪蔵まつり 2012

2月12日 日曜日、兵庫県伊丹市にある小西酒造さんの「白雪蔵まつり」に行ってきました。

伊丹は、江戸時代に江戸に送るお酒の製造で栄えた町です。小西酒造さんは、日本酒「白雪」の製造の他、ビールの製造、ベルギービールの輸入販売も行っている大手の蔵元です。

白雪蔵まつりは、伊丹市や伊丹商工会議所、伊丹酒造組合なども協賛し、関連イベントも同時開催される大きなイベントです。木樽作りや「もとすり」実演などの日本酒に関係したものの他、ジャスコンサート、落語など、一般のイベントも盛りだくさんです。

会場は、大きく、本社とブルワリーレストラン「長寿蔵」のある付近と、「富士山蔵」と名前が付けられた工場地域に分かれています。2つの場所は、直線で約700メートルほど離れているので、無料バスが用意されています。

朝10時過ぎに、富士山蔵会場に行きました。

最初に酒蔵見学です。エレベーターに乗って、上層階に上がります。こちらは40年前に建てられ、1年間通してお酒を製造しているそうです。10年前から社員杜氏になったとのこと。

自動化が進んでいる一般酒の製造ラインもあるそうですが、今回は吟醸酒など、高級酒の製造現場の洗米・蒸し米・麹室・上槽の工程を見学することができました。

日本酒の製造工程の解説をしていただきながら、見学して回ります。
まずは、精米歩合の違いによる、お米の状態の違いの見本です。品種は山田錦です。精米歩合は、お米を削って残った部分の比率です。精米歩合35%となると、かなり小さくなるのが分かります。


洗米の工程です。高級酒はこのような袋と
たらいで、手作業でお米を洗うそうです。

蒸し器の甑です。連続ではなく一定量ごとに小ロットで蒸すタイプです。

麹室です。扉が空いている状態の麹室を始めて見ることができました。鉄筋コンクリートの建物の中に、伝統的な木造りの部屋が備えられています。
麹米を少し頂きました。麹の力で糖化が進んでいるので、噛むと通常のお米より強い甘みがします。

仕込みタンクは見ることができなかったのですが、タンクから取り出した発酵中の醪を見せてもらいました。ブクブクと大粒の泡を吹いています。この様に小さな容器の中でも盛んに泡だっているのは、とても不思議です。

通路に、製造中の写真が貼ってありました。手作業で、手間をかけて作っているのが分かります。

最後に、醪をお酒と酒粕に分ける上槽の工程です。手前が圧力をかけるタイプ、奥が雫を取るタイプです。奥の方は、このように袋が吊されていました。こちらも初めて間近で見ました。

以上で、工場見学は終了です。
大手メーカーの工場で、見学ラインではなく、実際に普段製造されている現場を回ることができました。いろいろな製造現場を見ることで、日本酒への愛着が深まります。

当会場では、木樽作りの実演イベントがあり、準備をされていた親方さんに話を聞くことができました。西宮の樽メーカーの有名な社長さんです。

日本酒樽は、日本酒を入れておく容器、運ぶための運搬道具、容量を計る道具の3つの役割を兼ねている。
樽の材料には、杉の木の外側の白い部分と内側の赤い部分の境の「甲付き」と呼ぶ部分を使う。現在の兵庫から江戸までは、船で約3週間かかった。この部分を使うと調度良い加減で日本酒に樽の香りが付く。赤い部分だけでは香りと色が付きすぎる。
樽酒は、樽の香りと酒の香りの相性があり、吟醸酒などは向かないと思う。良い酒樽は、相応の値段がするので、日本酒メーカーさんにとっては、悩みの種かも。
などなど、興味深い話を聞くことができました。

樽酒は、イベントなどで飲む他はあまり飲む機会がなかったのですが、各メーカーさんとも瓶詰めやワンカップも出しているので、今日の話を聞いて飲みたくなりました。

白雪では、春夏商品としてレジャー向けにレジャーシート付き樽酒のセットを出すそうです。おもしろそうです。
http://www.shirayuki.co.jp/pickup/2012spring-summer.pdf

出荷場らしき場所が、試飲・販売会場になっていました。熱燗の販売、有料・無料の試飲、お酒の販売、仕込み水の無料提供が行われていました。

 

限定酒の汲み酒と江戸元禄の酒を買いました。

汲み酒は、精米歩合35%の大吟醸醸造アルコール入りです。
最初はフルーティーな味と香りが前面に出てきて次に酸味が出てきます。これだけで、じっくりと味わいたいお酒です。

江戸元禄の酒は、小西家に伝わる文書に基づき、江戸時代に飲まれていた酒を復元したものです。色が濃い茶色で特徴があり、味は甘みと酸味が濃厚です。販売していた方の話では、色が茶色いのは江戸時代は精米技術が発達しておらず、原料の精米歩合が低いためだそうです。また、江戸時代はこの原酒を販売する店で水で割って売っていたそうです。
この様な酒が江戸時代で一般的なものであったとしたら、今の日本酒とはかなりイメージが違います。

この後は、無料バスで「本社」「長寿蔵」会場に移動しました。

こちらも、たいへん賑わっています。

「長寿蔵」会場では、屋外で地ビールやベルギービールの販売を行っていました。

まずは、グラス販売所でこの様なグラスを200円で買います。ベルギービールウィークエンドと共用ですね。
 

次に、飲みたいビールの販売コーナーに行き、注文して注いでもらいます。

この日は、スノーブロンシュとVEDETTを飲みました。続けて飲むとスノーブランシュのコクと、VEDETTのさわやかな味わいがよく分かります。
 

普段はあまり飲む機会のないベルギービールもお得な300円で販売しており、いろいろと飲んでみたかったのですが、寒くなってきた為飲むことができませんでした。

屋台では、かなりの行列ができていましたが、粕汁うどんを食べました。伊丹名物とのことです。

今回は、初めての参加だったので、要領が分からないところもありました。
来年は、富士山麓会場での日本酒の試飲販売、長寿蔵会場でのビールの販売に向けて、事前に白雪のお酒を調べ、寒さ対策をしっかりとして、伺いたいと思います。

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